長城―八達嶺
延慶県にある。長城の要衝のひとつ。長城の全長は6700kmで、「月から見える地上唯一の建造物」と言われる。はるか春秋、戦国時代から諸侯の国がたがいに防御するために城壁を築いたのが起源で、中国を統一した秦がその城壁を基礎に万里も連なる長城を築き、今日の長城の規模が定まった。 その後も代々、改修して利用され、明代にいたって、北方ではいぜんとしてモンゴル族の進攻、東北でも女真族の勃輿がみられたので、従来の城壁の版築の部分を磚、石造りに改め、西は嘉峪関(甘粛省)から東は山海関(河北省)まで1万余里(2400km)を整備し、城壁沿いに多数の烽火台を設けた。八達嶺付近の長城は地形を利用し、高さ7.5、厚さ約4mで、上部は騎馬が五列、兵士が十列で進むことができる幅をもつ。防御上の必要から、尾根の高所、城壁の曲り角、重要な地点に堡塁式の城台を設けた。階上と階下に分かれ、階上には四面に鋸壁をめぐらし、階下は軍隊の駐屯や武器の保管ができるように空洞とした。八達嶺では、入り口を入ると左右どちらにでも登れる。左右それぞれ「男坂」「女坂」と呼び習わされ、坂の角度に違いがある。右の「女坂」の方が一般的かと思われるが、こちらも四つ目の城楼までくれば、山を縫って長城が延々と連なる様が見える。この辺りの長城の修復は年々進んでおり、その気になれば、三時間でも四時間でも歩いて行くことが出来る。
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