太和殿
俗に金鑾殿といい、故宮の中心部にある。故宮の「三大殿」のなかでも最も重要な建物。皇帝の即位や誕生、春節(旧暦の元旦)や冬至などの祭日、出兵征討など、明・清両代の皇帝の重要な儀式はすべてここ太和殿で行われた。明の永楽18年(1420)に完成し、初めは奉天殿といったが、嘉靖41年(1562)に皇極殿と改称し、清の順治2年(1645)に現在名になる。三層の漢白玉石の基台の上に建つ。基台には三列の石段がついているが、中央のそれは巨大な一枚石に海浪と流雲と蟠竜を彫った「御路」であり、皇帝専用の通路であった。それぞれの基台の上には、雲竜と雲鳳を彫った漢白玉石の柱が立ち並び荘厳な雰囲気を醸し出している。基台の階段をのぼると太和殿。正面には巨大な紅色の円柱が十二本並ぶ。建物は高さ29メートル、幅約63メートル、建坪2377平方メートル。建物の内部には、楠の大木柱が立ち並び、巨大な屋根を支える。その柱に囲まれるように、薄暗がりのなか皇帝権の象徴である玉座が置かれている。黄色瓦に紅色の壁。故宮で最も壮観な建物である。中国における現存する最大の木造建築でもある。
中和殿
太和殿の北側にあり、故宮の「三大殿」のひとつ。明の永楽18年(1420)に完成し、初めは華蓋(かがい)殿といったが、嘉靖年間に中極殿と改称し、清の順治2年(1645)に現在名になった。縦横24.15メートルの正方形で、屋根の中央に金メッキの宝珠がある。皇帝が太和殿に赴くときはまずここ中和殿で小憩し、内閣・礼部や侍衛・執事の朝礼を受けた。天壇、地壇や社稷壇での祭礼の際、祝詞や儀式の農具の閲見を行う場所でもあった。
保和殿
中和殿の北側にあり、故宮の「三大殿」のひとつ。明の永楽18年(1420)に完成し、初めは謹身殿といったが、明の嘉靖年間に建極殿、清の順治年間に現在名に改め、乾隆年間に改修。 |